九州大学医学部 小児科 [成長発達医学分野]

九州大学小児科学教室の特色 小児がん拠点病院

小児がん拠点病院(平成25年2月)

九州大学病院は平成25年2月8日付けで厚生労働省より「小児がん拠点病院」の指定を受けました。小児がん拠点病院は、全国7つの地域ブロック(北海道/東北/関東甲信越/東海北陸/近畿/中国・四国/九州・沖縄)に合計15病院、当院は、九州・沖縄ブロックにおきまして唯一の指定病院です。九州大学病院は小児がん拠点病院としての役割を果たすべく、小児医療センターにおいて以下の取り組みを行っています。

九州・沖縄地域連携について

小児がん拠点病院の指定を受け、九州・沖縄地域で小児がん診療を行っている施設が所属する「九州・沖縄地域小児がん医療提供体制協議会」を設置し、また、年2回、九州大学で開催する研究会(「九州山口小児血液・腫瘍研究会」「九州地区小児固形悪性腫瘍研究会」)に併せて協議会を開催し情報共有を図り、連携強化を進めています。
また、上記協議会の所属施設に加え福岡県内2施設、合計21施設が参加する「九州・沖縄ブロック小児がん拠点病院TV会議」を毎月開催しており、持ち回りで決めている当番施設が司会進行を行い、症例検討や討論会、研修カンファレンスなど情報共有および連携強化を進めています。 さらに、小児がん中央機関の研修を受けた小児がん専門相談員が中心となり、2016年より九州・沖縄地域小児がん医療提供体制協議会 相談支援部会を開催するなど、各施設の小児がん相談員との連携強化も今後進めていく予定です。

小児がんに対する集学的治療、臨床試験や治験の取り組みについて

診療科の垣根を越えて、化学療法、手術療法、放射線療法などの集学的治療を提供できる設備と人材を揃えており、難治例・再発例も積極的に受け入れています。また、臨床試験や治験にも参加出来る体制を整備しています。

多職種連携について

平成26年1月1日より、子どもの発達やストレスへの対処に関する専門知識を持つチャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)2名を雇用しました。CLSは病気や医療体験における子どもへの支援として、その子どもの発達に応じた説明や理解の援助、きょうだいを含むご家族の心理社会的サポートを主に行っています。CLSは小児医療センターで活動しておりますが、転科転棟した患者のフォローアップや他診療科からの介入依頼などにも柔軟に対応しております。
また、平成27年4月1日より多職種にて構成された小児緩和ケアチームを設置し活動を開始しております。当チームは「小児がん拠点病院等の整備に関する指針」に基づいて設置したものであったため、当初は対象疾患を小児がんに絞って活動をしておりましたが、同年8月より小児がん以外の重篤な病や障害を抱える患者さんにも対象を拡大し活動を行っています。
チームは医師(小児科、小児外科、小児歯科・スペシャルニーズ歯科、子どものこころの診療部)、看護師、薬剤師、CLS、理学療法士、臨床心理士、社会福祉士、管理栄養士、学校教諭、保育士、臨床倫理担当者といった多職種で構成されています。主な活動として毎週火曜日15時半~16時半にラウンドを行っているほか、偶数月にカンファレンス、奇数月に勉強会を開催しています。 当チームのように、対象とするこどもの疾患を限定せず、包括的な支援を提供するチームは全国的にもごく限られています。病を抱えるこどもたちが、大切な時間を少しでも居心地よく過ごせることを願い、多職種間で情報共有しながら議論を重ね、身体症状の緩和のみならず、心理的支援、家族支援、代理意思決定支援、復学支援、地域連携、看取りのサポート、グリーフケアなど多様な面から主治医の先生方をバックアップできるよう活動しています。

小児がん長期フォローアップについて

治療レベルの向上により小児がん患者の多くが治癒するようになった一方で、病気を克服した後に晩期合併症を抱えている経験者も多くおられます。
晩期合併症は手術や抗がん剤、放射線治療が原因で起こる後遺症であり、内科、外科、歯科、心理・社会的問題など多岐にわたり、治癒後も診察や検査を受けることで、経過観察や二次がんの早期発見がしやすくなり、適切なタイミングで治療やアドバイス、説明を行うことができるようになります。
現在行っている診療科レベルでのフォロー体制をより組織立ったものにすべく、「長期フォローアップ外来」の設置に向けて取組みを始めています。

入院患者家族支援事業について

本院の近隣に設置されている入院患者のご家族向け宿泊施設において、平成28年1月より入院患者家族支援事業の一環として、「恵愛団ファミリーハウス森の家」の宿泊費補助事業を開始しました。同施設のみ18歳以下の患者さんのご家族が宿泊される際、料金の半額を九州大学病院が補助しています。また、平成28年11月には、福岡ファミリーハウス「シバタハウス」が馬出地区にオープンしました。その他の施設も都度病棟内でご案内できるよう資料をそろえております。
今後も拠点病院として、小児がん患者さんとそのご家族に少しでも笑顔が増えますよう努力していきます。

九州大学小児科学教室の特色Our feature

  • 小児がん拠点病院
  • 九州大学病院小児救命救急センター(PICU)
  • 九州大学環境発達医学研究センター(エコチル)
  • トランジショナルケア外来
  • 成人先天性心疾患外来
  • 遺伝カウンセリング
  • 九州大学病院子どものこころの診療部
  • 予防接種
  • 胎児心疾患外来
  • 総合周産期母子医療センター(NICU)
  • 小児リウマチ・原発性免疫不全症
  • 血友病診療地域中核病院