九州大学医学部 小児科 [成長発達医学分野]

研究グループ紹介 腫瘍

小児がん臨床

小児がん拠点病院

2014年に九州で唯一の小児がん拠点病院に制定され、新規および再発難治症例を多くご紹介していただいております(1)。稀少疾患である脳・脊髄腫瘍においても経時的に集約化が進んでいます(2)。


  • 2019年度第3回松本班(「小児がん拠点病院を軸とした
    小児がん医療提供体制のあり方に関する研究」
    会議資料より(1)

  • 2019年度第3回松本班(「小児がん拠点病院を軸とした
    小児がん医療提供体制のあり方に関する研究」
    会議資料より(2)

臨床研究、各種治験

日本小児がん研究グループ(日本小児白血病リンパ腫研究グループ、固形腫瘍臨床研究)としてプロトコール治療を行い、小児がんの標準的治療の確立に努めています。当院小児科主導にて日本初の小児ホジキンリンパ腫全国プロトコールを立案し、放射線科と共同してFDG-PET中央診断を行っています。また、進行期、難治性神経芽腫他難治性固形腫瘍、血液腫瘍に対する臨床試験、治験への取り組みも多数施行中です。


Ueda et al. BMC Pediatr. 2020 Jan 28;20(1):37. doi: 10.1186/s12887-020-1923-7.

1984年から2016年までに当院で経験した116例の網膜芽細胞腫症例を後方視的に解析し報告しました。全身化学療法および局所療法により、両側および片側発症患者の生存率、両眼温存率を上昇させました。

2015年に造血細胞移植学会移植拠点病院に制定されました。

難治性悪性腫瘍、非血液腫瘍、骨髄不全症例に対する移植療法に積極的に取り組んでおります。


2019年度第3回松本班(「小児がん拠点病院を軸とした
小児がん医療提供体制のあり方に関する研究」会議資料より(3)

2020年に専門外来として「小児AYAがんフォローアップ外来」を設立しました。

小児がんの70%以上が治癒する時代となりました。一方、晩期合併症(成長障害、学習障害、二次がん、不妊など)の解決が、新たな課題として注目されています。この晩期合併症のなかにはがん治療終了後、何十年も経過したのちに症状があらわれることもあります。小児AYAがんフォローアップ外来では、小児がんを経験された患者さんが過去に受けた治療内容を把握して、健康管理に役立てられるように、一緒に考えていきます。
また、思春期から青年期を経て成人するまでの過渡期であるAYA(adolescent and young adult)世代で問題となるがんには小児期特有のものからいわゆる成人がんまでさまざまです。また、小児からAYA世代にかけては、ライフステージが急激に変化する時期です。就学や就労、恋愛、結婚や生殖機能、価値観や死生観など個人で状況が大きく異なります。患者さんに元気になっていただくために、多職種、多診療科で支援します。

そのほか、セカンドオピニオン外来での他院からの患者さんのご相談も増えており、拠点病院としての責任は大きいと感じています。今後も全ての小児がん患者とご家族のために努力したいと思います。

小児がん研究

古賀は日本小児がん研究グループにおけるホジキンリンパ腫試験責任者として、現在の臨床試験遂行とともに、国際試験を視野に入れた次期試験を策定しております。さらに、看護師と協同して抗がん剤曝露についての環境調査、家族調査を行い、小児がん領域では初の治療曝露に関するガイドライン作成をすすめています。
中島は日本小児がん研究グループにおける急性骨髄性白血病臨床研究担当者として治療研究立案に携わっております。また、臨床大学院に所属し、ダウン症児の白血病に関する遺伝学的解析や免疫異常の病態解明などをすすめています
小野は日本小児がん研究グループにおける横紋筋肉腫委員会委員として臨床研究を担当しています。また小児急性リンパ性白血病予後不良因子の解析を進めています。
大場は臨床大学院に所属し、患者検体を用いて、網羅的メチル化パターンの解析を進めています。
鈴木はアメリカのメモリアルスローンケタリングがんセンターで神経芽腫に対する新しい免疫療法の開発に携わっていました。現在は九州大学病院ARO次世代医療センターで、主に小児疾患や希少疾患に対する新しい治療薬の治験実施計画の策定や薬事対応を行っています。
後藤は臨床⼤学院に所属し、⼩児急性⾻髄性⽩⾎病症例におけるヒストンのメチル化(エピジェネティクス解析)と臨床像との関連性についての研究を⽇本⼩児がん研究グループ関連施設と共同で進めております。

小児がんの子ども達の未来のために、九州大学小児科から多くの知見を発信できるように、全員で頑張ります。

古賀友紀

研究グループ紹介Clinic & Research group

10の専門グループに分かれて診療・研究を行っています。全ての分野をカバーし、かつ教育にあたっています。

  • 免疫・血管
  • 腫瘍
  • 感染症
  • 循環器
  • 神経
  • 腎
  • 新生児
  • 内分泌・代謝、先天代謝、遺伝
  • 救命救急
  • アレルギー
  • エコチル