原発性免疫不全症候群の病態を基盤とした長期的観点から疾患のコントロールを目標としています。感染症の予防や治療だけでなく、自己免疫疾患や発癌などの原発性免疫不全症患者の合併症の予防などを含めQOLを考慮した診療を行っています。重症複合免疫不全症や慢性肉芽腫症、Wiskott-Aldrich症候群などに対して、根治を目的とした造血幹細胞移植を積極的に施行しています。家族性地中海熱、クライオピリン周期性発熱症候群(CAPS)、TNF受容体関連周期性発熱症候群(TRAPS)などの遺伝性自己炎症性症候群の診断・治療を行っています。
血球貪食性リンパ組織球症、慢性活動性EBウイルス感染症などの予後不良なリンパ増殖性疾患の病態解析を行い、免疫抑制療法、造血幹細胞移植などによる治療法の確立に努めています。本邦の家族性血球貪食リンパ組織球症における遺伝子異常を明らかにし治療法の決定に重要な情報を提供しています。再生不良性貧血や先天性造血障害(サラセミアやDiamond-Blackfan貧血など)の病因・病態解析と造血幹細胞移植を含めた治療に取り組んでいます。
血友病や免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)などの出血性疾患や、先天性プロテインC/S欠乏症などの血栓症の病態解析、治療を行っています。播種性血管内凝固(DIC)や血栓性微小血管障害(TMA)に関しては病態に応じた適切な治療を目指しています。
全身性エリテマトーデス(SLE)、若年性特発性関節炎(JIA)や大動脈炎症候群、若年性皮膚筋炎など様々な自己免疫/自己炎症性疾患の病態解析から生物学的製剤を含めた適切な免疫抑制療法の開発をめざしています。肺ヘモジデローシスに対してリポステロイド療法を確立し良好な成績を納めています。
小児期発症クローン病や潰瘍性大腸炎、遺伝性炎症性腸疾患などに対し、免疫抑制療法、食事療法、生物学的製剤などを組み合わせ、通常と変わらない生活ができることを目指し、消化器内科/小児外科の先生方と連携しながら治療を行っています。
石村匡崇